はじめに:その並び替え、SORT関数で自動化しませんか?
「あ、またデータが増えてる…並び替えやり直さないと…」
「この元データ、うっかり壊しちゃいそうで怖いんだよな…」
経理や事務の仕事をしていると、請求書や売上リストの並び替えって、頻繁に発生しますよね。
毎回メニューからポチポチ…
データが増えるたびに、また一からやり直し…
その面倒な手作業、SORT関数を使えばまるっと自動化できます。
この記事では、あなたの頼れるパートナーとして、SORT関数の使い方を基本から応用まで分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはもう手作業の並び替えには戻れなくなっているはず。
面倒なデータ整理から解放されて、もっと創造的な仕事に時間を使えるようになりましょう!
そもそもSORT関数って何?メニューの「並べ替え」との違い
「関数って聞くと、なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんね。
大丈夫、SORT関数はとってもシンプルで、一度覚えれば一生モノのスキルになりますよ。
SORT関数とは、「指定した範囲のデータを、決めたルールで並び替えた結果を“別の場所”に表示する」関数です。
一番のポイントは、元データを一切いじらないこと。
だから、安心して作業できるんです。
いつもの「並べ替え機能」との違いを見てみましょう。
| SORT関数 | メニューの「並べ替え機能」 | |
|---|---|---|
| 元データ | 変更されない (安全) | 直接並び替えられる (元に戻せない) |
| 更新 | 自動 (元データが変われば結果も変わる) | 手動 (データが変わるたびに再操作が必要) |
| 使い方 | 関数を一度入力するだけ | メニューから範囲と条件を選択 |
SORT関数を使えば、元データを安全な状態で保ちつつ、レポート作成などで必要な順番の結果だけをリアルタイムで表示できるため、作業が非常にスムーズになります。
SORT関数の基本的な使い方【まずはこれだけ覚えよう!】
基本の形はとってもシンプルです。
=SORT(範囲, 並び替え列, 昇順か降順か)
それぞれの項目(引数といいます)を見ていきましょう。
- ① 範囲:並び替えたいデータ全体のセル範囲です。(例:
A2:C10) - ② 並び替え列:範囲の中で、並び替えの基準にしたい列が何番目かを数字で指定します。(例:2列目を基準にするなら
2) - ③ 昇順か降順か:並び順を指定します。
- 昇順(小さい順、あいうえお順):
TRUEまたは1 - 降順(大きい順):
FALSEまたは0
- 昇順(小さい順、あいうえお順):
【実践】簡単な表を並び替えてみよう!
さっそく使ってみましょう!
この商品リストを「価格が安い順(昇順)」に並び替えてみます。
| 商品名 | カテゴリ | 価格 |
|---|---|---|
| ノートPC | 家電 | 120000 |
| モニター | 家電 | 35000 |
| キーボード | 周辺機器 | 8000 |
| マウス | 周辺機器 | 5000 |
| Webカメラ | 周辺機器 | 12000 |
並び替えた結果を表示したいセル(例:E2)に、以下の数式を入力します。
=SORT(A2:C6, 3, TRUE)
A2:C6が①範囲3が②並び替え列(範囲内の3番目である「価格」列)TRUEが③昇順
すると…

たったこれだけで、価格が安い順に並んだリストが自動で作成されました!
そして、ここからがSORT関数の真骨頂です。
もし、元リストの「Webカメラ」の価格を「12,000円」から「4,000円」に変えたら…?
SORT関数の結果は、瞬時に自動で更新されます!
Webカメラが一番上に移動するはずです。

これ、感動しませんか?
一度設定すれば、あとは何もしなくても最新の状態が保たれる。
これが「手作業から自動化へ」の第一歩です。
【応用編】SORT関数の便利な使い方4選
基本を押さえたら、次は実務で役立つ応用テクニックです。
これを使いこなせれば、あなたのデータ整理はもっと楽になりますよ!
応用1:降順で並び替える(売上ランキングなど)
売上が高い順にしたい場合は、3つ目の引数を FALSE に変えるだけ。
=SORT(A2:C6, 3, FALSE)

応用2:複数条件で並び替える(カテゴリ別×価格順など)
「カテゴリ別(あいうえお順)に並べて、同じカテゴリの中では価格が高い順にしたい!」 こんなときは、条件を後ろに追加していきます。
基本編で使った商品リストを例に見てみましょう。
=SORT(A2:C6, 2, TRUE, 3, FALSE)
- 1つ目の条件:2列目(カテゴリ)を
TRUE(昇順)で - 2つ目の条件:3列目(価格)を
FALSE(降順)で
という意味になります。
この数式を使うと、まず「家電」「周辺機器」の順にカテゴリで並び、それぞれのカテゴリ内で価格が高い商品から順に表示されます。

応用3:必要な列だけを抽出して並び替える
「元データから商品名と価格だけ抜き出して、安い順に並び替えたいな」 そんなときは、{}(波括弧)の出番です。
基本編の表から、A列(商品名)とC列(価格)だけを取り出してみましょう。
=SORT({A2:A6, C2:C6}, 2, TRUE)
{}で囲むことで、離れた列(この場合はA列とC列)を一つの仮想的な表として扱えます。
その上で、仮想の表の2列目(価格)を基準に並び替えている、というわけです。
元データの並びを気にせず、欲しい情報だけを整理できるので本当に便利!

応用4:横方向のデータを並び替える
このテクニックは、月ごとの売上のようにデータが横に並んでいる表を並び替えるためのものです。
基本編で使っている商品リストはデータが縦に並んでいるため、このままでは使えません。
そこで、次のような「月別売上表」を例に使い方を見てみましょう。
これを「売上が高かった月」の順に並び替えます。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
|---|---|---|---|
| 500 | 800 | 650 | 920 |
この並び替えには、TRANSPOSE という「行と列を入れ替える」関数を組み合わせます。
=TRANSPOSE(SORT(TRANSPOSE(A1:D2), 2, FALSE))

少し複雑に見えますが、やっていることは
TRANSPOSEで、いったん縦長の表に変換SORTで、いつも通り並び替え- もう一度
TRANSPOSEで、横長の表に戻す
という3ステップです。アンケート結果の集計などで活躍しますよ。
SORT関数と組み合わせると最強な関数2選
SORT関数は、他の関数と組み合わせることで真価を発揮します。
特にこの2つは、あなたの業務を劇的に効率化してくれるはずです。
1. SORT + FILTER:条件で絞り込んでから並び替える
「カテゴリが“家電”のデータだけを、価格が高い順に見たい!」
こんなときは FILTER 関数との組み合わせが最強です。商品リストの例で見てみましょう。
=SORT(FILTER(A2:C6, B2:B6="家電"), 3, FALSE)

FILTERで、B列が「家電」のデータだけを抽出- その結果を
SORTで、3列目(価格)をFALSE(降順)で並び替え
という流れです。
これで、特定の条件のレポート作成が一瞬で完了します。
2. SORT + UNIQUE:重複を除いてから並び替える
取引先リストなど、重複したデータを取り除いて、あいうえお順にしたい場合にぴったり。
商品リストから重複しない「カテゴリ」の一覧を作ってみましょう。
=SORT(UNIQUE(B2:B6))

UNIQUEで重複をなくし、SORTで並び替える。
これだけで、「家電」「周辺機器」というクリーンなリストの完成です。
よくある失敗と解決策【知っておくと安心!】
最後に、初心者がつまずきやすいポイントと、その解決策を共有しますね。
よくあるエラー「#REF!」の原因と対処法
SORT関数を使っていると、セルに #REF! というエラーが表示されることがあります。
これは、関数の結果を複数のセルに自動で展開するためのスペースが足りないのが原因です。
結果を表示したい範囲に、他の文字やデータが入っていないか確認しましょう。
見出し(ヘッダー)は範囲に含めない
A1セルから範囲指定すると、見出しまで並び替えられてしまいます。
データ部分(A2など)から指定するのがコツです。
データが増えても自動で対応させたい!
データが追加されるたびに範囲(例:A2:C6)を修正するのは面倒ですよね。
そんなときは、範囲の行番号をなくして A2:C のように指定します。
ただ、これだと空の行まで対象になってしまうので、先ほどの FILTER 関数と組み合わせて、**「A列が空っぽじゃない行だけを対象にする」**という条件を付けるのがプロの技です。
=SORT(FILTER(A2:C, A2:A<>""), 3, TRUE)
こうしておけば、元データに新しい行を追加するだけで、並び替え結果にも自動で反映される、完璧な自動化リストが作れますよ!
【まとめ】SORT関数で、面倒な並び替え作業から卒業しよう!
お疲れ様でした!
今回は、スプレッドシートのSORT関数について解説しました。
- POINT 1:SORT関数は、元データを壊さずに、並び替えた結果を自動で更新できる安全・便利な関数。
- POINT 2:基本は
=SORT(範囲, 列番号, 昇順/降順)だけ覚えればOK! - POINT 3:
FILTERやUNIQUEと組み合わせれば、データ抽出から整理までを完全自動化できる。 - POINT 4:範囲を
A2:Cのように指定すれば、データの増減にも自動で対応可能に。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、これは「未来の自分の時間を節約するための投資」です。
手作業で並び替えていた時間を、SORT関数でまるごと自動化してしまいましょう。
さあ、理屈が分かったら、次は実際に手を動かしてみるのが一番です!
まずは、今日の業務で使っているスプレッドシートを一つ開いてみてください。
そして、いつも手作業で並び替えているデータに、SORT関数を使ってみましょう。
きっと、その便利さとスマートさに驚くはずです。
『クロウル』は、これからもあなたの「手作業から自動化へ」の道のりを応援しています。
バックオフィスの仕事を、もっと楽に、もっとクリエイティブにしていきましょう!


